この時季、どういう風の吹き回しか、採用試験の面接官をさせられることがある。リクルートスーツに身を包んだ若者を相手に、「で、なぜ新聞記者になりたいの?」なんて聞くわけだが、質問しながら「そういう自分は、どうだったか」と自問して、苦笑する。
折り目がいっぱい入った上下巻の文庫が、自宅の本棚にある。「我、拗(す)ね者として生涯を閉ず」(講談社)。元読売新聞社会部記者で、ノンフィクション作家だった本田靖春さんが、亡くなる直前まで執筆していた「自伝」だ。
昭和58年、1年生だった記者は、本田さんの代表作といえる「不当逮捕」や「疵(きず)」をむさぼるように読んだ。その後、出版された「警察(サツ)回り」では、一度も会ったことのない大先輩の仕事ぶりに胸を躍らせ、その末端で同じ空気を吸っているだけでうれしかった。
「我、拗ね者…」は、戦後、朝鮮半島から引き揚げてきた本田さんが、読売社会部の若きエースとして活躍しながら、会社の論理からはみ出し、退社に至るまでの過程が克明に描かれている。
そして、全編に貫かれているのが、新聞記者はどうあるべきか、だ。弱者の視点、社会正義…。口にするのが照れくさかったり、「それはちょっと違うかも」とチャチャを入れたくなったりもするが、読むたびに胸がつぶれそうになる。
「楽しいお酒でしたよ、酔うとよくバナナのたたき売りの口上をまねされてね」
異動で大阪に帰ることになった夜、本田さんの行きつけだった新宿署近くのスナックに顔を出すと、ママが懐かしそうに話しだした。
引用元 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090411-00000119-san-soci
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